透析後のNT-proBNP値と心疾患の有無と体液貯留との関連
演者 廣瀬 陽子
目的
維持透析患者において適正なDWの設定は重要であり、心胸郭比(CTR)、ヒト心房性ナトリウム利尿ホルモン(hANP)、下大静脈径(IVC)、臨床症状(血圧・浮腫等)が指標とされている。
今回我々は、体液貯留の指標として透析後の脳性ナトリウム利尿ペプチド前駆体N端フラグメント(NT-proBNP)が有用であるかを検討した。
方法
透析終了時に回路より採血、 血清NT-proBNPの値を測定。同日透析終了後、体水分量を測定した。
各種パラメーター(性別・糖尿病の有無・心血管疾患の有無・浮腫値(ECW/TBW))との関連を、t検定もしくは単回帰分析で検討し、有意であった因子を重回帰分析にて解析した。
使用機器
NT-proBNP(ラジオメータ社製AQT90Flex)
体水分測定(バイオスペース社製InbodyS20)
※浮腫値=細胞外液量(ECW)/体水分量(TBW)
結果
T検定、または単回帰分析 | 重回避分析 | |||
---|---|---|---|---|
P Value | β | P Value | 95% CI | |
性別、男性 | 0.32* | |||
糖尿病、有り | 0.23** | |||
心血管疾患、有り | 0.002*** | 0.35 | 0.0037 | 980 to 4800 |
ECW/TBW | 0.0006 | 0.31 | 0.0086 | 40700 to 268000 |
まとめ
-
T検定または単回帰分析でのNT-proBNPとの関連
性別 :有意差なし 糖尿の有無 :有意差なし 心血管疾患の有無 :有意差なし 浮腫値 :有意差なし - 重回帰分析でNT-proBNP、心血管疾患の有無。
浮腫値は有意に相関関係を示した。
考察
透析終了時の血清NT-proBNP値は、体液貯留を反映しておりDWの指標の1つになり得ると考えられる。しかし、心血管疾患を有する患者では、その影響も考慮する必要がある。